こちらは現地時間2021年3月25日にドイツ・レーゲンスブルグで発行されたプレスリリースの抄訳です。英文の原文との間で解釈に相違が生じた際には原文が優先します。
コンチネンタルのパワートレイン部門であるヴィテスコ・テクノロジーズは、コンチネンタル・グループからの分社化、上場、そしてその後のスピンオフに向けて次のマルストーンに到達しました。2021年3月16日にコンチネンタルAGの監査役会がスピンオフを承認したことを受けて、ヴィテスコ・テクノロジーズは初のキャピタル・マーケット・デイで戦略を発表し、投資家やアナリストからの質問に答えました。
最新のパワートレイン技術と電動化ソリューションを提供するグローバル リーディング カンパニーであるヴィテスコ・テクノロジーズは、世界の電動化におけるパワーハウスになることを決意しています。スピンオフとそれに続く上場は、2021年の下半期を予定し、2021年4月29日に開催されるコンチネンタルの年次株主総会での株主承認が、このプロセスにおける次の重要なステップとなります。
「2019年、私たちはすでにeモビリティに向けて進路を決定し、コミットしました。2020年には、変革を迅速かつ集中的に推進し、今、私たちは会社の歴史の中で最大のステップを踏む準備ができています。」と、ヴィテスコ・テクノロジーズのCEOアンドレアス・ウォルフ (Andreas Wolf)は述べています。
世界の自動車メーカーは、ますます厳しくなる環境基準、社会の変化、顧客の需要の高まりを背景に、モデルレンジの電動化を進め、マイルドハイブリッド車、プラグインハイブリッド車（PHEV）、電気自動車（BEV）を幅広く提供しています。この傾向は、新型コロナウィルスの大流行が続いている間も続きました。2020年、欧州における電気自動車の新車（BEVおよびPHEV）登録台数は、2019年と比較して144％増加し(注1) 専門家は、2030年には電気自動車が普通自動車総生産台数の約60％を占めるようになるかもしれないと予想しています。(注2)
「当社がeモビリティ ソリューションを提供しているマーケットは、2020年から2025年にかけて年率約30％で非常にダイナミックに成長すると予想されています。当社はすべての電動ドライブシステムに革新的なソリューションを提供しているため、大きな利益を得ることができるでしょう」とアンドレアス・ウォルフは述べています。
ヴィテスコ・テクノロジーズは、ハイブリッドおよび電気駆動システムの開発・製造において10年以上の経験があり、200万台以上の車両に同社のeモビリティ ソリューションが採用されています。現在、世界をリードする電気自動車プラットフォームの大半に製品やシステムを提供しています。ヴィテスコ・テクノロジーズは、エレクトロニクス、メカトロニクス、ソフトウェア、統合システムの全領域を網羅し、あらゆる電動化シナリオに対応する柔軟なソリューションを提供する、世界でも数少ないサプライヤーの１社です。このような幅広い製品群で高品質な個々の製品から高度で完全なシステムまで提供することができます。
アンドレアス・ウォルフは、「システムの専門知識とグローバル・フットプリントは、お客様が調達を決定する際の最も重要な判断基準です。」と強調します。
ヴィテスコ・テクノロジーズは、新型コロナウィルス大流行の影響を受けましたが、2020年に向けてその回復力を発揮し、変革を進めることに成功しました。また、電動化製品およびシステムの売上を前年に比べ大幅に増加させることができました。電動化分野の受注残は、2020年末時点で総額130億ユーロを超えました。この受注残には、エレクトロニック コントローズ事業部が大手自動車メーカーから数十億ユーロで受注したハイボルテージ ボックスが含まれます。
ヴィテスコ・テクノロジーズには、エレクトリフィケーション・テクノロジー事業部、エレクトロニック コントロールズ事業部、センシング＆アクチュエーション事業部の3つの事業部があり、全ての事業部が電動化製品の売上に貢献しています。エレクトリフィケーション・テクノロジー事業部は、電気モーター、機電一体型アクスルドライブ、パワーエレクトロニクス、バッテリー マネジメント システム、48ボルトシステムを開発・製造しています。エレクトロニック コントロールズ事業部の製品群には一体型エレクトロニクス・アーキテクチャーとソフトウェア、電気、ハイブリッド、内燃駆動の制御ユニットや一体型ハイボルテージ ボックスがあり、センシング＆アクチュエーション事業部はサーマル、およびエナジー マネジメントの分野で、精密な計測と制御のインテリジェントなソリューションを提供しています。
昨年のヴィテスコ・テクノロジーズの売上高は、コンチネンタルとヴィテスコ・テクノロジーズの間で行われた受託製造による売上高を含め、合計で80億ユーロ強となりました。2019年には、エレクトロニック コントロールズ事業部とセンシング＆アクチュエーション事業部を収益性の高いコアテクノロジーに集中させることを発表し、2020年にそれぞれ6.3％と8.1％の調整後EBITマージンを達成しました。このコアテクノロジーは、電動化技術のさらなる成長を促進するための安定したキャッシュフローを生み出します。エレクトリフィケーション・テクノロジー事業部は、電動化モビリティに完全に特化し、調整後EBITマージンは、ダイナミックな事業展開に伴う高い立ち上げコストのため、依然としてマイナスとなっています。2020年通年では、ヴィテスコ・テクノロジーズの調整後EBITマージンは-1.1%でしたが、エレクトリフィケーション・テクノロジー事業部を含まない調整後EBITマージンは3.3％となりました。
ヴィテスコ・テクノロジーズは、中期的にエレクトリフィケーション・テクノロジー事業部が調整後EBITで黒字化することを目標としています。過去2年間だけでも、同事業部の粗利益率は55%ポイント以上、上昇しました。さらに継続的に成長しているマーケットは経済成長を生み、将来的に、ヴィテスコ・テクノロジーズは稼働率の向上による生産効率の改善を見込んでいます。2021年初頭には、第3世代の機電一体型イーアクスルドライブを世界中の顧客に15万台以上供給することに成功し、エレクトロモビリティのマイルストーンとなりました。そしてつい最近、現代自動車グループから800ボルトのパワーエレクトロニクスの大規模な受注を獲得することができました。
ヴィテスコ・テクノロジーズは、2020年12月31日時点の自己資本比率が32.9%と強固なバランスシートを有しており、変革のための財務基盤と将来に向けた財務的柔軟性を確保しています。
レバレッジは上限の1.0倍の純負債/調整後EBITDAを目標としています。電動化への投資にもかかわらず、設備投資比率は2020年と比較して一定またはわずかに減少すると予想しています。これは、ヴィテスコ・テクノロジーズが内燃エンジン事業の設備投資を電動化の成長を後押しするためにシフトすることによるものです。
ヴィテスコ・テクノロジーズは、中期的にすべての事業分野で、売上高の30％以上を電動化製品が占めることを目標としています。
ヴィテスコ・テクノロジーズの製品群は、将来のどのようなシナリオに対しても優れた技術を提供します。同社の開発した製品による今後の売上は、内燃エンジン（ICE）関連製品よりもはるかに大きく、2018年の内燃エンジン（ICE）車と比較して、2025年には電気自動車に対するヴィテスコ・テクノロジーズの潜在的な搭載数（CPV）は約5倍になると予測しています。(注3)
ヴィテスコ・テクノロジーズは、エミッションフリーのモビリティ向けソリューションだけではなく、高いESG基準を満たすことにも取り組んでいます。「当社は、ESGの分野で主導的な立場を目指し、2030年に向けて再生可能エネルギーの使用や、世界中で100％カーボンニュートラルな生産を行うなど、意欲的な目標を掲げています。同時に、当社の電動化ソリューションによるお客様のサステナビリティ目標の達成をサポートしています。」とアンドレアス・ウォルフは話しました。2020年以降、ヴィテスコ・テクノロジーズの生産設備には再生可能エネルギー電力のみが使用されています。
さらに、製品のライフサイクル認証や、廃棄物のリサイクル率95％など、重要なマイルストーンを設定しています。ヴィテスコ・テクノロジーズは、DAX50 ESGやMSCI ESG Leadersなどの主要なESGインデックスへの登録を目指し、近い将来、ESG評価機関と積極的に連携する予定です。
(注1) 出典：ACEAACEA 燃料別乗用車新車登録台数 (02/2021)
(注2, 3)出典：ローランド・ベルガー、2020年12月、「パワートレイン市場」調査
